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竹生島 Chikubushima 林能楽部04 竹生島 Chikubushima 林能楽部04

脇能物

作者 金春禅竹(諸説あり)

春の近江、琵琶湖の美しい景色を背景に竹生島の縁起が語られる。
曲中の謡
「緑樹陰沈んで魚木に登る気色あり
月海上に浮んでは兎も浪をはしるか」
は江戸初期に人気を博し、「波に兎」の文様に発展した。

役 cast
前シテ 漁翁
後シテ 龍神
前ツレ
後ツレ 弁財天
ワキ 臣下
ワキツレ 従者(2名)
間狂言 竹生島の社人
あらすじ

醍醐天皇に仕えていた臣下が霊神のおわす竹生島詣りに向かいます。逢坂の関を越え、琵琶湖に到着した臣下。朝ぼらけの湖では翁(おじいさん)と海女(あまさん)が釣り舟に乗って朝早くから漁をしています。臣下は二人に渡しを頼むと、竹生島へと舟を漕ぎ出すのでした。桜の頃の美しい琵琶湖と竹生島、そこに弁財天と龍神が顕現する脇能物です。

ストーリー ストーリー

(前半)
醍醐天皇に暇をもらい、琵琶湖に浮かぶ竹生島に参詣することになった臣下。
京都の都を出て山科・四の宮にあるお宮を過ぎ、湧泉で有名な「走井」にうつる月を見ながら曇りなき御世に想いを馳せつつ、逢坂の関を越え、鳰の浦(琵琶湖)真野の入江に到着したのでした。

臣下たちは竹生島に渡る為に、湖で漁をしている釣り舟が岸辺に戻ってくるのを待つことにします。さて、その釣り舟に乗っていたのは漁翁と海女。頃は春の半ば、朝ぼらけの霞がかかり、うららかな湖は長閑な風情です。
その日の糧を得ることで精一杯の生活ながら、琵琶湖で漁ができる事は他の地の漁師とは比べものにならないと言いながら漁翁たちは真野の入江にやってきます。

シテ:林宗一郎 ツレ:味方 團

そして臣下たちの依頼に「この舟は渡し舟ではないから」と一度は断るものの、初めての参詣だと聞くと、ここは霊地であり何かしらの神慮もあるのだろうと舟を出すことにしたのでした。
今日は殊更に長閑な日だと漁翁は舟は漕ぎ出します。山々の桜は白い雪のように見える春の日です。
いよいよ緑樹の影がうつる美しい湖面が広がる竹生島に到着し、すぐに島に祀られている弁天様にお詣りに行こうという臣下たち。すると漁翁と海女は竹生島を案内しようと言います。
そして弁財天とは女性も成仏させてあげようと決意した女人の神で、女性こそお詣りするべき神様なのだと教えると、海女はそのまま社殿の中へ、漁翁は湖中深くへと消えてしまったのでした。

ワキ:有松 遼一

(間狂言)竹生島神社の社人がやってきて、神社の御宝物を見せてくれます。最後には「神秘の岩飛び」をご披露します。

間狂言:茂山 逸平

(後半)
いよいよ御殿が鳴動して、日月が光り輝き山の端から現れるように弁財天がありがたい姿をあらわします。「この島に住み、神を敬い国を護っている弁財天とは私のことです。」その時虚空より音楽が聞こえ天から花が降り、春の夜の月に輝きながら袂を返して弁財天が舞います。

そして神の夜遊びが終わり月が澄み渡る中、いよいよ波風が鳴動して湖より龍神が現れるのでした。龍神は光り輝く金銀の珠玉を臣下に授けます。
衆生を救おうという誓いの姿は様々であり、ある時は天女の姿が願いを叶え、ある時は龍神となって国土を鎮める。その様を現した後、天女は宮中にお入りになり、龍神は湖水に飛行し波を蹴立てて天地を覆う大蛇の形になると龍宮に飛んで帰っていきました。

Photo by 人見写真事務所

※演目紹介「林能楽部」の著作権は林能楽会、株式会社唐紅及び人見写真事務所が保有しています。あらすじや写真の無断転載他、法律に違反する行為はおやめください。尚、使用をご希望される方は「お問合せ」よりご連絡ください。

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