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「林能楽部」能・邯鄲”KYOTO de petit能2021/10/29 文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業”

写真2021年12月31日

能「邯鄲」 作者:不明 曲柄:四番目物 季節:不定

1.アイ・宿の女主人の登場、枕を持ってます。

宿は邯鄲の里にあり、往来を行き来する人たちの世話をしている事から女主人の語りが始まります。

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ある日、仙術(仙の法)をもった方を泊めた際、お礼に「邯鄲の枕」をもらった事、その枕を使うと、わずかの眠りの間に行く末の悟りが得られる事が語られます。そして、旅人がきたら伝えるように、と言うと狂言座に座します。

 

2.シテ・盧生の登場

儚い現世に迷って旅に出たものの、いつになったらこの迷いから覚める事ができるのか。

盧生はそう言うと、自分の名乗りを始めます。

「私は蜀の国の傍らに住む盧生という者。仏道も願わず、ただ茫然と暮らしてきたが、楚国に偉大な高僧がいると聞いたので、私の身の一大事、私の進べき道を尋ねて見ようと旅をして来ました。ようやく到着したのは、邯鄲の里。まだ日は高いですが今日はここに宿を取ることにしましょう。」

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3.宿の女主人と盧生とのやりとりが始まります。

「お頼み申します。旅人ですが、一夜の宿をお貸し願えますか。」

「お安い御用です。どちらからいらっしゃいましたか。」

そう問われた盧生は、悩みを抱え尊い知識をもった高僧を尋ねることなどを女主人に伝えます。

すると女主人は邯鄲の枕の話をし、良かったら使ってみては、と勧めます。そして盧生の為に、粟飯を炊くよう宿の使用人に言いつけるのでした。

「進むべき道を尋ねようと思う旅の途中で、夢の告げが見られる枕に出会うとは、これも天の与えに違いない。」盧生は勧められるまま、一眠りするのでした。

 

4.ワキ・勅使の登場、盧生が横になると同時に登場。扇で台を叩いて起こします。

「盧生と申す者、お話がございます。」

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盧生がびっくりして何者かと尋ねると、勅使が答えます。

「楚国の帝の位が盧生に譲られる事、そしてその事を伝えるために勅使である私が参りました。」

あまりの不思議さに「何故に」と再度問いかけるも、「私たちもわかりませんが天下を治める瑞相があるのかもしれません。ささ、輿に乗って王宮に向かいましょう。」と言う勅使の申すまま、盧生は光り輝く玉の輿に乗り、王宮へと向かうのでした。

 

5.ワキツレ・廷臣と子方・舞童の登場と玉座からの風景

王宮に到着した盧生はその光景に驚きます。

『雲の上と言われる宮殿では月も太陽もより明るい。雲龍閣や阿房殿(始皇帝の宮殿)も光に満ち満ちて、庭には金銀の砂が敷かれ、四方にある門は玉が飾られ、出入りする人々もまた光を纏っているような着飾った装いだ。噂に聞く極楽の貴見城もこんな景色に違いない。千にも万にも及ぶ宝物が捧げ物として連なり、諸侯の夥しい数の旗が天に色めき、礼の声が地に響く。

宮殿の東に三十丈の高さに銀の山が黄金の日輪を出だし

宮殿の西に三十丈の高さに金の山が白銀の月輪を出だし

これは詩にある「長生殿の内では時は流れを止め、不老門の前は時の流れが遅い」ということをあらわしたのだな。』

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6.そして盧生が即位して50年が経ち、酒宴が始まります。

廷臣:申し上げます。御即位されてから50年が経ちました。この仙薬を飲めば寿命はさらに1000年保たれます。そこで天の濃漿と沆瀣の盃(仙人の盃)をお持ちしました。

 

盧生:寿命が千代になるという菊の酒   廷臣:栄華の春(御代)は万年に

盧生:君もゆたかに           廷臣:民も栄え

盧生:国土安全長久の栄華も増して喜びはまさる。さあ盃を巡らせみなみな酒を飲もう。

そう言うと、盧生は臣下達とともに酒を飲み、菊衣の美しい袂を翻して舞うのだった。

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「この栄華はいつまでも続き、有明の月のように永遠に終わりがないのだ。」

 

*目覚め1:「空オリ」 盧生が足拍子を踏みながら、一瞬、台から足を踏み外す。これは、少しずつ夢の世界が終わりに向かっている事を表します。

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「月人男の舞なれば、雲の羽袖を重ねつつ、喜びの歌を」

「歌う夜もすがら」 歌う夜もすがら、日はまた出でて明らけくなりて 夜かと思えば

「昼になり」    昼かと思えば

「月またさやけし」 春の花咲けば

「紅葉も色濃く」  夏かと思えば

「雪も降りて」   四季折々は目の前にて春夏秋冬、万木千草も一日に花咲けり 面白や不思議やな

 

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こうして50年の栄華が終わりとなった。みな消え、失せ果て邯鄲は枕の上で眠っていたのだった。

 

8.宿の女主人が起こしに来ます。

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*目覚め2:一畳台を扇で2度叩きます。

 「いかにお旅人、粟の飯が炊けました。」盧生は目覚めます。

夢から目覚め茫然と起き上がる盧生。あれだけ多くの女御や更衣の声は松風の音、宮殿や楼閣はただの邯鄲の仮の宿、栄華の50年は粟飯の一炊の間だったと気づきます。

「つらつら人の有り様を案ずるに、100年の歓楽も命終われば夢と同じ。50年の栄華も王位も長寿の願いも経験してみればそれ以上のことはなく、何事も一炊の間の夢なのだ。よくよく思えば思い悩み進んだ旅で、求めていた導きこそ、この枕だった。ありがたい邯鄲の枕のおかげでこの世は夢と悟ることができた。」

盧生はそう悟り、蜀の国に帰ったのだった。

おわり

 

“KYOTO de petit能 2021/文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業”

*Youtubeに、公演全映像がアップされています。是非どうぞ。

↓ ↓ ここをクリック。

https://www.youtube.com/watch?v=Cb9RZHFSV-o

 

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